こんにちは。
庖丁専門店スタッフのTomoです。
今回の堺の旅では、先日インスタグラムで初コラボをさせていただいた辰巳さんの工場にも訪問させていただきました。
今日はその訪問の様子と合わせて、木柄製作の工程等を紹介していこうと思います。
辰巳木柄製作所 辰巳博康
『伝統工芸・堺打刃物』 木柄職人
創業昭和2年の家業を継ぎ四代目として修業中。
Instagram @hiroyasu_tatsumi
大学では建築を学び、卒業後家業である木柄職人を継ぎ、四代目として修業に励む傍ら、今までにはない視点から堺の刃物業界を見直し、新たなチャレンジに取り組んでいる若手の職人さんです。
また他業種の職人さんとも様々な形で交流する場を作られていて、インスタグラムでのコラボライブでは非常に勉強になる交流会を定期的に開催されています。
【Instagram】
hiroyasu_japanese.handle
木柄職人の仕事
主に木材の加工をし、名の通り庖丁に取り付ける持ち手部分の製造を担っています。
同じ木材でも使用する部位によって僅かに特徴が異なるため、一本ごとに特徴の差を見極めて加工していく必要があります。
また、フリーハンドで成形をする工程もあり、長年培ってきた手先の感覚が重要になってきます。
製造工程
角材から
加工前の角材です。
朴木が最も一般的に使用されている木材で、加工性が良く、握り心地が非常に良いので多くのユーザーに愛されている木材です。
他には高級なものだと、紫檀や黒檀、イチイなどの銘木が使われることもあります。
かわむき
ある程度一定の大きさに切り分けられた角材の表皮を削っていく工程です。
円盤の側面に刃が付いた特殊な機械を使用します。
この工程で余分な部分を削り、大まかな形を整えていきます。
穴あけ
柄の差し込み口をドリルで開ける工程です。
通常のボール盤と違い、ドリルの刃が水平に移動する仕組みになっている機械を使用することで、より安定した状態で効率よく穴を開けることが可能です。
ドリルの刃は庖丁の種類に応じて異なり、穴の深さも各寸法に合わせて調節する必要があります。
また庖丁の柄は頭から尻までテーパー状になっているため、真っすぐに穴を開けるためにはテーパーの角度に合わせて台を調節しなくてはなりません。
非常に僅かな角度の違いで穴が曲がってしまうため、1°の狂いも許されません。
中子穴が真っすぐ正確に空いていることで、柄付けの際にも効率よく取り付けることが可能になります。
面取り
口輪(プラスチック、水牛)をはめ込むために頭の部分を加工する工程です。
回転式のおろし金のような機械に当てて、回転させることで細く削っていきます。
輪はめ
口輪を取り付ける工程です。
プラスチック製、または水牛の輪を柄の頭に取り付けることで、庖丁を差し込んだ際の強度を高めることができます。
焼き込み
庖丁の中子の大きさに合わせて、穴を調節する工程です。
中子に合わせた金属を赤くなるまで熱し、焼き込むことで穴を広げていきます。
荒磨き
この工程ではやや粗めのペーパーを使用し、柄の形を削りだしていきます。
フリーハンドで行うため手先の感覚が非常に重要な作業で、均一に形を作ることができるようになるまで相当な数の経験を積む必要があります。
仕上げ磨き
バフを使用して、柄を磨き上げていく工程です。
写真だとやや分かりにくいですが、右のほうが艶があるように見えると思います。
実際に研磨前と後の柄を触ってみると、研磨後の柄は非常に表面が滑らかで、きめ細かく磨き上げられています。
目を細かく仕上げることで、手触りが良くなるのはもちろんのこと、撥水性の向上や汚れ等も付着しにくくなります。
より快適に、長く使えるように一本一本丁寧に磨き上げられています。
職人歴70年の貫禄
御年88歳の木柄職人さん。
なんと、このお仕事を10代後半から70数年も続けているとのこと。
柄を成形していく作業を拝見させていただきましたが、誰にでもできそうなくらい簡単にこなしていて、その職人技に感動したのを覚えています。
”ご飯を食べるのと一緒で生活の一部として体に染みついている”と優しい笑顔で語りかけてくださいました。
まだ業界に入って経験の浅い僕ですが、このような大先輩の職人さんにお話を伺う機会をいただけたことに感謝します。
偉大な背中を追って、僕も毎日一歩づつ成長を続けていきたいと心から思いました。
辰巳さんとはインスタライブで初めてお話しさせていただき、如何にも現代らしい形で知り合いました。
今回、堺に行った際に工場を訪問させていただき、お忙しい中丁寧に説明してくださいました。
同じ業界でありながらも異なった立ち位置にいるので、お互いの視点から意見交換をすることができ非常に有意義な時間を過ごすことができました。
同い年でこういったお話ができる方と知り合うことができて、僕自身とても良い刺激になりました。
突然の訪問でしたが、快く迎えてくださって本当にありがとうございました!
今後も何かしらの形でコラボができれば良いなと思います。
【Instagram】 tomo_knife_life
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