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#07【一問百答】日本一の研ぎ師が教える🤫一番切れる庖丁の鋼材!青紙?白紙?それともステンレス? (マニアック度★★★☆☆)

Q:どの鋼材が一番切れる?

柿沼: ああよくでも僕もやっぱりああの接客してる人が多いと結構やっぱ聞かれます。

藤原:うん。まあ、その切れる切れないっていうやっぱりね、その何でもそうなんだけど、、。僕の得意な分野なんだと思うんだけどカテゴリー分けが得意なんだ。

柿沼:はい。

藤原:そう。でまずその切れるっていう中のカテゴリーを分けないと切れるって広すぎるのよ。でまあ、美味しく切れるのか、どういう切れ味っていうものを切れるという風に表現するのかっていうのでもすごく難しいんだけども、ただその1番ベースにすべき金属っていうのが白紙という金属なんだよね。それが鉄の中に炭素が入っているっていうその1番シンプルな鋼と言われるものなんだけども、そこからレアメタル、貴重な金属を入れていくとどんどん加工されていって、いろんな能力を身につけていってるっていう考え方が1番分かりやすいのかなと思う。

その中で基本に白紙3号という鋼材があってその白紙3号に対して炭素を増やしていくと白紙2号、白紙1号っていう風になっていきます。

柿沼:はい。

藤原この時に白紙3号ベースで 白紙1号を見た時にはどう切れ方が違うかっていうと引っかかって切れるのが白紙1号。鋭利さで切れるのが白紙3号です。なので本当に瞬間的なものすごい切れ味で言ったら最も切れるのはおそらく白紙3号。ていうのが僕らの研究では分かってます。

柿沼:うんうん。

藤原:なのでもう本当に鋭さ鋭利さで切れてるっていうのは間違いない。ただそれが側面抵抗が良くないとか研ぎ方とかで厚みが厚いとか、白紙3号でもそういう要素が入ってしまうと滑って切れるっていう感覚に今度なってしまいます。

柿沼:はい。

藤原:要するにのこぎりである方が引っかかって食い込もうとしてくれるんだけども、側面がそれを止めてしまうとのこぎりじゃない関係で食い込みが悪いんで、そうすると重く入って、入りが悪いんで滑るような切れごごちに感じてしまったりとか。長切れしないのも実は事実。

だから、単純に瞬間的な切れ味であり、味の本当に綺麗さのみを求めるんであればやっぱり白3かなとは思いますね。

柿沼:やっぱ一般的にはその2号1号ってランクが上がってくみたいなイメージをしている方がやっぱ多いと思うんですよ。僕もこの業界に入る前はそう思ってましたし、なんか3号より2号が良い、2号より1号が良い。で白より、さらにグレードアップしたのが青、 青紙スーパーが1番固くてめちゃくちゃ切れるみたいな説明であったり、そういう記事とかも結構ネットに多いですし。。

藤原:まあちょっとねここは深掘りして話すとピーしかでなくなる(笑)

柿沼:まあ、ただやっぱりその方が売りやすいっていうのはあるのかなって思います。

藤原:まあでも個人的にやっぱりまず一番料理人さん方を見てる中で感じるのは、ここもカテゴリー分けがとても大事で一般家庭なのか料理人さんなのかでやっぱり求めてるもの違うはずなのね。その中でじゃあ一般家庭はって言ったらそもそも研ぎますかっていうと、またね選択肢が出てくる中で研がない人はめっちゃ硬くてとにかく長切れするっていう、で味なんかとりあえず置いといてとにかく奥様がすごく毎日快適に気持ちよくお料理をしていただけるっていうそこが多分ね最上級になってくる可能性が高いんだよね。

だからそういうところで言うと別に研ぎやすさなんてどうでもいいっていうのも当然出てくる。ただ僕がすごく研究してる中で一番主軸になってるのがやっぱり料理人さんでその方々のスタイルというか日常業務とかを見せてもらっていると大体やっぱり硬い包丁を買ったけどみんな研げなくて、硬い包丁が切れない状態で無理して使ってるっていう現場ばかり見てる。

柿沼:うんうん。

藤原:だから、やっぱり扱える包丁って実はすごく切れるようになるのよ。ちゃんと研いでちゃんと切れるようにできるそれがすごくいい包丁に必ずなっていく。

柿沼:パフォーマンスが引き出せないと(意味がない)。っていうことですよね。

藤原:そう。だからそうするとよく切れる包丁って何って言ったら実は研ぎやすい包丁っていう風にも言えてしまう部分がある。

柿沼:うんうん。

藤原:そう。だから、やっぱり研げない研ぎにくいで研ぐのに時間がかかるとかっていうのが、本当に小人数で忙しくしてる業界なので、そうするとそこにかける時間がどんどんどんどん減っていけばいくほど、硬い包丁を買ってしまうとパフォーマンスが引き出せ なくて結局切れない包丁になってしまうことが多い。

柿沼:僕はお客さんに勘違いして欲しくないのが、白3が切れるっておっしゃってるのは藤原さんが思う理想の形を作り上げた時点での話であって、要は側面抵抗だってその鋼材で決まってるっていうよりかは、一般的な要素としてはおそらく側面抵抗であったり、刃先の状態っていう意味ではその白紙3号を藤原さんが理想の焼き入れで粒子を細かく仕上げた状態で、理想の刃付けをした状態で比べたら、全部その状態にした時に白3がっていう話。

一般的にこれで勘違いして欲しくないのが、だから白3買いました、で切ってみました、全然切れねえじゃん、クレームっていうのは違くて。

藤原:まあ、 そうですね(笑)

柿沼:そうなんですよ。結局白3を買ったとしても、刃付けであったり刃先の状態もそうなんですけどその側面の仕上げ方、厚みだったりテーパーの作り方だったり、いろんなものが影響してくると思うんです。そこが完璧に理想に近づいての白紙3号なんで。

だからこれを見て白紙3号を買いに行くお客さんもしかしたらいるかもしれないんですけど、それが切れるとは限らないです。

藤原:そうだね(笑)

柿沼:それは僕は言っておきたくて。

藤原:いやまそうだね。確かに(笑)

柿沼:あの一般的な目線で。ただ、やっぱり皆さん勘違いされるんで。ただ、その白紙1号がいい白紙2号がいい白紙3 号がいいっていうのは理想の形に近づけた上で同じ条件で比べた時にこういう切れ味ですよっていう究極の説明なんです。

藤原:そうなんだよね。まあ、だから極論例えばAって いう鋼材があっても、それの仕上げ方が悪かったら全くそのパフォーマンスが出てない状態で買われた方はそれを評価しようがないよね。

柿沼:はい。ただそこがやっぱなんだろう、統一されてないんで。

要は変数が多すぎるんで結局買った包丁が仮に白紙3号じゃなくて一般的には藤原さんの理想で揃えた時にはそこまで力を発揮しない鋼材だったとしても側面抵抗であったり厚みだったりその状態が良ければ、他の白紙3号の商品があったとして比べた時にこっちの鋼材のが切れるって感じる確率が結構高いなと思ってて。

藤原:うんうんうん。

柿沼:やっぱり作ってる方も違えば、厚みも全部条件が違うんで。ていう中でやっぱり鋼材だけが表面的な情報として見えやすいじゃないですか。

藤原:その通り。

柿沼:ってなった時に、白3藤原さん切れるって言ったから買ったのに全然切れねえじゃん。

藤原:確かに(笑)

柿沼:藤原さん嘘つき。みたいになるのは、やっぱりそこは誤解していただきたくなくて。

藤原:なるほどなるほど。

柿沼:そこはね結構注意して欲しい大事なポイント。

藤原:大事だね。

柿沼:だから、この鋼材だから切れるっていうのは結構なんだろう、、。 藤原さんは蓄積した経験の中で言ってるんであって、表面的に白3が切れるよっていうのは(違う)。全ての条件が整った上でっていうところだけ誤解しないように。

藤原:うん。で意外にねやっぱり白3って鋼材としてもやっぱりね少しあの安価にね売られてる傾向があって。

柿沼:はい。イメージ的にはそういうイメージが強いです。一般的には安い 包丁に使われてる鋼材。

藤原:安い包丁の方が、今はちょっと変わったんだけど昔は特にたくさん売れてたくさん広がったから、よりまた玉石混合だったりね。

柿沼:はいはい。

藤原:そう。で逆に確かに白2白1の方がやっぱり作るのが難しい。失敗が多いって言われた鋼材なのも事実で、そういったところでもロスをしない、要するに確実にお金に変わるっていう意味で選ばれた鋼材っていうのも事実。そうするとやっぱりね、評価がすごく分かれやすかったり。まあそれの最たるものが8Aかもしれないね。

柿沼:うんうん。

藤原:愛知製鋼さんが作ってる鋼材で、もう安い鋼材のイメージで。でも本当にあれもちゃんと作るとものすごくよく切れたりとか研ぎやすくて良かったり。ただよくあるのが、もう本当にシーソーだと思った方が良くてやっぱり何かを上げると何かが下がるんだよ。

柿沼:はいはい。

藤原:もうこれは原理としては絶対に変えられないところで、何かを上げたのに何も下がらないっていうのはかなりレアなケースですね。よく切れて、長く切れ味が続いて、研ぎやすく値段もめっちゃ安くてみたいな。作るのも楽ですみたいな。そんなものはやっぱり存在しない。

柿沼:はいはい。

藤原:うん、なので注意しなければいけないのがいいことを言う、要するに何かのパフォーマンスを上げてるっていう中で悪くなったところを言わないっていうのがやっぱりね。ちょっと誤解を生んでると思う。

柿沼:それを言わなさすぎるっていうのがあるのかなっていう。こっち(良い部分)ばっかりスポットを当てている。

藤原:そうだね。だから やっぱりね、包丁でもめちゃくちゃ硬い包丁を買ってらっしゃる方がいて。でもお値段もすごい高くて、すごいかっこいいんだけど 、実際砥石を見るとその砥石じゃ多分研げないんじゃないですかっていうものを使ってらっしゃる方もいる。

さっきの話、パフォーマンスが上がっていくっていうのは何かがすごく特性を帯びていくので、包丁の場合は硬くなるってよく良いようにすごく言われがちなんだけど、 硬い包丁を買ったら削れる砥石を買わないと全然削れないっていうのも当然起こる。包丁だけ見すぎてるところも大きくて、包丁と砥石がセットでやっぱり道具として使えるものであって、やっぱりそこら辺が抜けてしまってるのかなって気はすごくするね。

柿沼:うんうん。それこそやっぱり鋼材も産地と一緒でどの鋼材だから、っていうのではなくて誰が作ってるかっていうのがやっぱ大事。 仮に同じ鋼材だったとしても作ってる方で全く違うのが事実。そこをより分かっていただきたいっていうか、そこをお客さんが理解して いただくと、同じ仮にじゃV金10号、銀3とかステンレス鋼、同じ金属だったとしても多分作り手さんによって切れる感じっていうのは大きく変わる。その前提を踏まえた上で藤原さんの中では白紙3号がっていう。 そこだけあの履き違えると。

藤原:そうですね。超長かったね(笑)

柿沼: はい(笑)

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