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#08【一問百答】切りやすいと切れ味は違う!?切れ味とは(マニアック度★★☆☆☆)

Q:切れ味ってなんですか?

藤原:これは難しいお話でね。

柿沼:藤原さんの本でもそれこそ分けられてたじゃないですか。要は、その切れ味っていうものの定義からスタートしてるんでそこを皆さんに解説していただくのがいいかもしれません。

藤原:そうですね。基本的にそのまず切れるっていう中にカテゴリーを作ったっていうのが、僕らはちょっと特殊なのかなと思ってて、『切れる』・『切れ味がいい』・『よく切れる』とかってそういう表現の中で、好きなように別れてるところをあえてその切れ味っていうところを少し上位に置いたっていうのが、僕らのその協会でやってる中での特徴なのかなと思ってて。

何がポイントかって言うとよく切れる包丁って誰目線なんですか?っていうお話ですよね。

よく切れる包丁って自分が切ってめちゃくちゃ切れるってなったらもうそこで終わってる様のイメージ。

切れ味がいい状態っていうのは切った時に味の変化を促せるレベルに研げていたりとか、あとは食べて自分が美味しいと思うもしくはお客様に食べてもらった時に美味しいっていうところを考えて、研ぎをやっているような状態。

研ぎで作られたれ切れる状態のことを切れ味がいいという。

だから、自分主体ではなく誰か第3者がいる目線で研ぎをするっていうところで、かなり鋭利な状態にしたことを切れ味て僕ら言っています。

柿沼:方向性が違うっていうことですね。

自分が使いやすいと感じるかどうかっていう方向性と、食材をいかに1番最適な状態に切り分けるか。結局食べる側がいるので食べる側の目線に立って逆算して、包丁を作り上げる、仕上げるっていうのが藤原さんの中での切れ味。で、自分が使いやすいかどうかでストップしてしまってるのがよく切れるっていう状態っていう大きくそこに分けてるってことですね。

藤原:実験をしていく中で多くの料理人さんとお取引きさせていただいて、その意見を聞いて食べ比べしていく中で、結果論仕上げの砥石の番手が高い方が皆様おいしいっていう風に言われる傾向にあることが分かっている。

なので、その切れる中でも中砥で終わるのか仕上げで終わるのか、その仕上げの中でも高い番手での砥石で研ぎ、さらにそこの中でも違いを出すっていう意味で天然砥石を使う、そこまで行ってるような意識高くその最後の食べるっていうところまで考えて研ぎをしてる状態で生まれたのが切れ味かな。

柿沼:仮に極端な話なんですけど切れ味がいいとされるその定義において食材が一番美味しく切れるという状態の包丁が必ずしもその使う側にとって最も使いやすい状態であるとは限らないということですね。

藤原:もちろん。

柿沼逆に使いにくくなる可能性もあるということですね。

藤原:すぐ切れなくなるとか、努力で時間かけて研いだ割りには使える時間が短いとか。なのでそこら辺も含めて現場がとても大事だとすごく思ってて、結局それで業務が回らないんだったらそれはもうしょうがない話妥協しなきゃいけない。

ただ何が大事かっていうとロジックを知ることが大事で、どうやったら美味しくなるのか、それを自分でやった結果現場ではちょっと使うのには合わないってなったらじゃあどうしたらそれが改善できるのか。そこを知るっていうのがすごく大事だと思ってて、それを伝えるために研ぎ講習をやってたりはするんだけどもね。

よくあるのが爪チェックとかしてよく引っかかる方がいいっていうので昔よく言われたんだけども、中砥ぐらいで、キングデラックスっていうすごい昔から売れた砥石、あれ一本で研がれてたりするとすごく爪によく引っかかって良かったりもするんだけど、実際よく切れたりはするんだけどね。食べるとすごく独特な、お野菜だったらえぐみって言われるような子供たちが嫌いな味が出てしまったりとか、野菜の鮮度がすぐに悪くなってしまったりとか。

実は自分はいいかもしれないけども、その結果よくなくなってしまってる可能性があるよっていうのに着目してほしくて、それでねそこのカテゴリを分けたっていうのがあるんだけども。

柿沼:そこは方向性としてこれから包丁買われる方であったり、料理の方も定義づけっていうところを結構大事にすると、今後研ぎに対しての方向性っていうのがはっきりしてくる。

藤原さんの定義として切れ味が良いっていうのは食材、相手側の目線から逆算して作り上げるもの。

よく切れるっていうのは自分目線。

この2つの定義で覚えといていただくと今後知った上で研ぎを理解すれば、業務内容を効率化したいんであればよく切れて、切れ味が長持ちする研ぎっていう選択肢も取れるし、逆にこだわれるんであれば逆算して自分は若干使い勝手が悪くなるかもしれないけれども、食材を最高の状態で仕上げることができるっていうこの2つの方向性をしっかり把握した上で、藤原さんが出されてる本とかを読むとすごい理解度が高まるんじゃないかなって思います。

藤原:まあ極論だけども、その切れるというベクトルの中に切れないこともちゃんと含まれてることも理解するべきだとは思ってて、何を持ってその道具、包丁という道具を捉えるかって言った時に切れない方が都合がいい作業もゼロではない。もう毎日骨だけ切ってますっていう風に欠けるリスクを避けるんであれば切れない包丁を使うっていうのもそれも1つの選択であって、あくまでも選択の中で極論だけども全く切れないのをゼロとして、ものすごく最高の切れ味がいい状態を100としたらあなたは業務の中でどの切れる状態を選びますかっていうそこの選択をするっていうのが大事なので、そこを理解することが大切。

柿沼:一括りにしちゃう、グラデーションになると分かりにくいじゃないですか、だから定義づけてもうしっかり区切るぐらいのイメージで、『切れない』『よく切れる』『切れ味が良い』この3つにしっかり区切った方が良い。

切れ味が良いっていう括りにしちゃうとその度合いの問題って判断がつきにくいじゃないですか。だから、しっかりと住み分けをしてこの3つの定義がありますよって、あなたはどれが必要ですか?っていうところからスタートすれば学ぶ上でもこれから研ぎについて色々藤原さんの本とか動画を見ていく上でもすごく分かりやすいのかなと思います。

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