和式柄とは?
主に和庖丁に使用される柄で、差込型になっています。
準備する道具
角材
庖丁から柄を外す際に使用します。
写真の角材は使わなくなった家具の脚を再利用したもので、樫の木でできております。
木材の指定はありませんが、床に叩きつけて使用するため、樫の木などの耐久性の高い木材がおすすめです。
木槌
庖丁の柄を取り付ける際に使用します。
木製の柄を叩いて取り付けるため、金槌ではなく木槌を使う方が良いでしょう。
金槌
中子の歪み直し、鏽落としの際に使用します。
金床
中子の歪み直し、鏽落としの際に使用します。
バーナー
中子を加熱する際にあると非常に便利です。
歪み取り棒
庖丁の刃や中子の歪みを調節する際に使用します。
出刃など厚い庖丁を除けば、歪み取り棒での調節が可能なので非常に便利な道具です。
柄交換の手順
柄を取り外す
写真のように角材に柄の上部を当て、庖丁の峰側と角材をしっかりと押えます。
角材に、直に庖丁を当てて叩くと木材が衝撃を吸収してしまい上手く柄が外れなかったり、木材の種類よっては衝撃によって角が潰れてしまいます。
角材の上部にL字金具を取り付けることで、床に叩きつける衝撃にも耐えることができ、力が逃げず柄に伝わるので外しやすくなります。
庖丁を固定した状態で、角材を床に垂直に叩きつけます。
この時に手が滑って庖丁を落としたり、怪我をしたりしないように細心の注意を払って取り外しましょう。
通常は数回叩けば写真のように外れますが、中子の状態によっては外れない場合があります。
何度叩いても外れない場合は、マイナスドライバーを柄に当てて金槌で叩くことで綺麗に割れます。
この工程で上手く外れないようでしたら、無理に続けようとせずに、プロにお願いすることをお勧めします。
今回修理をさせていただいた庖丁は中子がかなり錆びておりました。
刃の厚い出刃であれば、錆がある程度進んでも中子が折れる心配は比較的少ないのですが、刃厚の薄い庖丁は腐食が進むと折れてしまう危険性が非常に高いので、写真のような状態になる前に新しい柄に交換することをお勧めします。
中子の鏽を落とす
今回は特に錆が進んでいたので、まずは金槌で表面の錆びを叩いて剥がしました。
次にベルトグラインダーで中子の鏽をある程度落としていきます。
一般家庭で柄交換をする際は、サビトールや紙やすりを使用すると良いでしょう。
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このような状態まで磨いてあげれば十分です。
中子の歪み調節
庖丁の峰から中子の先端まで真っすぐになっているか確認します。
一度柄に差し込んでみて真っすぐ入らないようでしたら金槌で叩いて調節します。
柄の穴が曲がっていることも多いので、そういった場合は中子を少し曲げることで真っすぐ入るように調節しましょう。
中子が左に曲がっている場合は、左側面を下にして、右側面を金づちで叩くと真っすぐになります。
右に曲がっている場合は逆側を同じように叩いて調節します。
叩く位置を見極めるにはコツが必要ですが、中子は焼きが入っておらず折れる心配は少ないので、少しずつ叩く位置をずらしながら探ってみましょう。
柄の取り付け
次に中子を火で加熱します。
バナーがなければ自宅のコンロでも大丈夫です。
庖丁によっても異なりますが、わかり易い目安としては、薄っすら赤くなるまで加熱すると良いでしょう。
十分に加熱したら中子を穴に差し込み、木槌で柄尻(底の部分)を叩きます。
叩く位置によって柄の入り方が変わりますが、初心者の方には難しいので、柄尻の中心をできる限りピンポイントで叩くように意識すると真っすぐ入りやすいです。
温度が低い状態で差し込むと穴が広がりきらずに、割れる原因となりますので十分に加熱しましょう。
一番多いのが木槌で強く叩いて無理に差し込もうとして割れてしまうケースです。
特に硬度の高い黒檀などの木材は割れやすいので、中子が差込口よりも明らかに太い場合はグラインダー等で削ってから取り付けましょう。
柄の種類によっては焼きこみだと割れるリスクが高いので、接着剤を使用して固定する場合もあります。
とにかく無理をしないのが失敗しないコツです。
作業時間は約15~20分程です。
初心者の方は時間をかけても良いので、ゆっくり慎重に取り付けましょう。
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- 中子の錆をしっかりと落とす。
- 中子を十分に熱する。
- 柄尻を強く叩きすぎない。
- 焼き込みで割れるリスクが高い場合は、接着剤などで固定する。
- 無理をしない。※取り付けは自己責任でお願いします。
柄交換自体は慣れれば簡単ですが、失敗せずに取り付けをするためには幾つか道具をそろえる必要があります。
朴木は比較的軟らかく、焼きこみで差込口が広がりやすいため割れにくいですが、銘木と呼ばれる高級木材は硬度が高い傾向にあり、非常に割れやすいため注意が必要です。
折角安く柄を購入しても、失敗してしまったら逆に割高になってしまいますので慎重に取り付けをしましょう。
プロに任せて頂ければ確実に交換できますし、不具合があった場合も対応してくれるので、不安な方は専門店で交換してもらうことをお勧めします。
【Instagram】 tomo_knife_life
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