T3とは?
超微細な炭化物を特徴とするステンレス鋼です。
この鋼材は、月山義高刃物店を経営されている藤原将志さんが、4年もの長い年月をかけて研究・開発し、ついに試作段階まで辿り着いた新しい鋼材です。一般的にステンレス鋼は、炭素鋼に比べて炭化物が大きく、硬度が高いため、切れ味や研ぎ直しのしやすさの面では課題がありました。
しかし、このT3はステンレスでありながら、炭化物の粒子が非常に細かく、顕微鏡でも観察されているように、炭素鋼(ハガネ)に極めて近い性質を持っています。

メリット
T3の大きなメリットは、ステンレス鋼としての耐腐食性、つまり錆びにくいという点にあります。
これにより、日々のメンテナンスが簡単で、特にプロの現場で重宝されます。しかし、従来のステンレス鋼は炭素鋼に比べて切れ味が持続しにくく、さらに研ぎ直しが難しいというデメリットがありました。その点、T3は炭化物の粒子が非常に微細なため、研ぎやすさが向上し、切れ味も炭素鋼に匹敵するレベルまで仕上げることが可能です。
炭化物の粒子が微細であるほど、刃物の研ぎ方次第で様々な仕上げが可能となります。たとえば、レンガを例にすると、大きな石が混じっているレンガは脆くて割れやすいのに対し、細かい砂利が均一に混ざっているレンガは強度が高いというイメージです。同様に、庖丁を構成する炭化物が大きいと、どれだけ細かい砥石で仕上げても、その炭化物以上に細かい刃を作ることは困難です。
しかし、炭化物が微細であれば、粗い刃から非常に細かい刃まで自由自在に仕上げることができ、結果的に仕上げの幅が広がるのです。これは、料理をする上での様々な用途に対応できる庖丁となることを意味します。
非常にざっくりとした解説になりましたが、より詳しい説明は今後のYoutubeチャンネルでT3の庖丁を研究開発されている藤原さんご本人に解説していただきましょう。
クラウドファンディング

2024年6月頃から2ヶ月間にわたって開催されたクラウドファンディングでは、なんと約3200万円もの資金が集まり、1251人もの購入者がこの新鋼材に期待を寄せました。
これは、庖丁の分野においては極めて大きな成功と言え、こだわり抜かれた藤原さんの商品がこれだけの支持を受けたことに、僕自身も非常に感動しています。
T3のこれから
T3の開発はまだまだ進行中であり、さらなる改良の余地も多く残されていますが、その将来性には非常に希望が持てます。現在も多くの一流料理人の意見を取り入れながら日々試作を繰り返し、鋼材としてさらに進化させる努力を続けているようです。
まだまだ秘密にされている部分も多いものの、改良を重ねてより高品質な製品を提供できるよう尽力されています。製造面での難易度は高いものの、こだわり抜かれたT3がどのブランドやメーカーの庖丁にも負けない、最強の庖丁へと進化する日は遠くないかもしれいと思うと、ワクワクが止まりません。
この素晴らしい鋼材の動向に興味がある方は、ぜひ今から注目してみてください。今後、藤原さんご自身がT3の包丁について詳しく解説するYouTubeチャンネルも予定されているので、そのタイミングでさらに詳しい情報を得ることができるでしょう。この期待の新鋼材T3が、庖丁業界に新たな風を吹き込むことは間違いないと確信しています!
乞うご期待を!!
コメント