研ぎを知る

【必見】プロが教える「庖丁を研ぐ前にすべき準備」

状態確認と目標設定

庖丁を研ぐ前に、どのように研ぎあげたいのか目標設定をしましょう。

目的によって研ぎ方や使用する道具も異なります。

例えば、体の具合が悪い時その症状にあったお薬を飲むと思いますが、その作業と全く同じです。

頭が痛いのに便秘薬を飲んでも治らないように、大きな刃欠けを治したいのに仕上げ砥石でいくら研いでも元通りには戻りません。

そもそも庖丁自体が歪んでいたり、使用している道具に問題がある場合もございますので、まずは原因をはっきりさせましょう。

現象原因改善方法
食材が切れずに
繋がってしまう
・刃線が歪んでいる
→庖丁が原因

・まな板が歪んでいる
→その他道具が原因
・研いで刃線を整える


・まな板を購入する
上手く研げない・庖丁が歪んでいる
→庖丁が原因

・砥石が歪んでいる
→その他道具が原因

・砥石が安定していない
→その他道具が原因

・歪み取り棒で修正する


・平らな砥石を使用する


・しっかりと固定をする

砥石の状態確認

庖丁を研ぐうえで最も重要なのが、砥石が平らであるということです。

砥石も消耗品ですので、使えば刃物に当てたところがすり減って窪んでいきます。

長い間修正をせず使用した砥石は中央が大きく凹んでしまい、研ぎに大きく悪影響を及ぼします。

一定の角度で研いでいるつもりでも肝心の砥石が歪んでいたら鋭い刃は付きません。

刃線が歪んだり丸っ刃になったり、特に片刃包丁においては構造自体を変えてしまうことにより故障に繋がる場合があります。

上記の理由から、まずは砥石の平面がしっかり出ているか必ず確認しましょう。

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特に荒砥石や中砥石に関しては、研いでいる最中も砥石の状態に気を付けて、必要であれば面直しを間に挟みながら研ぎを続けましょう。

砥石を水に浸す

主に、ビトリファイド製の砥石は使用前に水分を吸わせる必要があります。

目安としては気泡が出なくなるまで浸しておけば問題ないでしょう。

ただ、全ての砥石が水に浸す必要があるわけではありません。

刃の黒幕超セラミックス砥石などのマグネシア製法の砥石に関しては結合剤に水溶性セメントを使用しているので長時間水に浸すとひび割れや軟化・変形に繋がります。

これらタイプは使用直前に水で濡らしてあげればすぐに研ぎ始めることができます。

水に浸ける場合も数分程度にしましょう。

環境を整える

砥石が動いてしまったり、姿勢が不自然な状態では上手に研くことはできません。

砥石台があればベストですが、ない場合は滑り止めやタオルを敷いて砥石をしっかりと固定しましょう。

また、砥石の高さ・砥石と体の距離・姿勢など、自分が一番研ぎやすいと感じる姿勢で研ぐことも大切です。

最も大切なことは?

砥石が平らであることが最も大切です。

歪んでいる砥石を使うなら、研がない方が良いと言っても過言ではありません。

ポイントは庖丁を研いですり減った量よりも、面直し砥石で修正する量を多くをするイメージで行うことです。

平面の確認方法として目安になるのが、

・砥石に放射状に線を引きすべての線がなくなるまで面直しをする。
・正確な定規にあてて、確認する。

などがございますので、初心者の方などは是非試してみてください。

あとは、何よりも楽しみながら庖丁を研ぐことだと思います。

自分の大切な庖丁、商売道具のメンテナンス作業になるわけですから、愛情をもって楽しみながら研ぎましょう。

今回のまとめ

・庖丁の状態確認をする
・どのように研ぎ直すのか目標を設定する
・砥石の状態を確認する
・水を十分に吸水させる
・研ぎやすい環境をつくる
楽しむ!!

今回紹介させていただいた内容は研ぎに自信のある方でも出来ていない事が非常に多いです。

研ぎの技術に目が行きがちですが、正しくメンテナンスするには庖丁はもちろん、砥石の状態も把握し整える必要があります。

基本的なことですがここがすっぽりと抜けてしまわないように注意しましょう。