庖丁を知る

家庭用万能包丁でやってはいけない3つのこと

冷凍食品を切る

庖丁全般に当てはまることですが、最もやってはいけないのが冷凍食品を切ることです。

意外と知らない人も多く、こちら側が注意してもついついやってしまいがちです。

刃物に使用されている鋼材はある一定の温度を下回ると非常に脆くなり欠けやすくなる性質をもっています。これを低温脆性といいます。

庖丁が冷凍食材に触れることで冷やされ脆くなった状態で硬い食材を無理に切ろうとするため、大きな負荷化がかかり破損に繋がりやすくなります。

ひどい場合だと指の爪程の大きさでパキッと欠けることもあります。

小さな刃こぼれであればご自宅でも直せますが、指の爪程の大きさの欠けはどうしようもありません。

もし、大きく欠けさせてしまった場合は早まって廃棄するのではなく、購入したお店に一度相談してみることをお勧めします。

もちろん大きく削る必要があるため非常に勿体ないですが、研ぎなおせばまた使えるようになることが殆どですのでご安心ください。

骨を叩く

最近は某メーカーさんの宣伝によって、牛刀や筋引でお魚を捌きたいというお客様が増えているように感じます。

実際のところ魚を卸す作業自体は可能ですし、水産関係のプロの方が牛刀等の洋包丁で捌いていることも非常に多いです。

しかし、本来牛刀や筋引庖丁は野菜や肉、魚の切り身を切り分ける際に使用する目的で作られているため庖丁自体が比較的薄く作られていることが殆どでしょう。

したがって、骨を叩き切る等の強い負荷がかかる作業には向いていないと言えます。

YOUTUBEやその他SNSには牛刀を使用して上手に捌いている動画が沢山アップされていますが、あくまでもその道のプロフェッショナル達が捌いているということを忘れないでください。

彼らは魚を扱う職人であり、魚種ごとに骨の形や関節の位置など体の構造を理解しているからこそ、あのようにスムーズに捌けているのです。

骨を叩き切る、卸すといった作業を一つの庖丁で賄いたいならやはり出刃包丁がお勧めです。

洋庖丁も慣れれば非常に扱いやすいですが、強い衝撃を加えると刃自体が大きく歪んでしまったり、刃こぼれを起こす原因となるためご使用の際は十分理解した上でご使用ください。

食洗器で洗う

庖丁は基本的には手洗いをお勧めしています。

持ち手が木で出来ているものは食洗器を使用してしまうと破損の原因になります。

どうしても使いたいと言う方にはステンレス一体型の庖丁をお勧めしておりますが、どちらにしても個人的には手でしっかりと洗っていただきたいと思っております。

理由としては食器洗い機だと汚れが完全に落ちていないことが多いことと、刃こぼれの原因になるということが挙げられます。

一つ目の汚れが完全に落ちていないことが多いという点ですが、特に油汚れや細かい食材のカス等が落とせきれていないまま乾燥に欠けられて庖丁にこびり付いてしまうパターンです。

洗いなおすにも乾燥してしまっているため、非常に落ちにくく返って手間になることが多いです。また、汚れが付着したまま熱風で乾燥させるため、庖丁の種類によっては錆びの原因となる場合があります。

二つ目は刃こぼれの原因になるということですが、ご存じの通り食洗器は基本的に強い水圧で汚れを落とします。この際に他の食器に当たって小さな刃こぼれを起こすケースが非常に多く見られます。

折角切れ味の良い庖丁を購入しても、食洗器を使用してしまうことでたった一日で切れない庖丁になってしまう可能性もあります。

以上二つの理由から、極力庖丁は使い終わったら出来る限り早めに、手洗いで綺麗にすることをお勧めします。

まとめ

良い庖丁は正しく使用すれば作業が楽になるだけではなく、食材もより美味しく切り分けることが可能になります。

しかし、その反面庖丁の種類によっては非常に繊細に作られているため、使用方法を誤ると庖丁が破損するだけでなく、最悪の場合は大けがにも繋がりかねません。

折角良い庖丁を購入していただくからには私たちもお客様に気持ちよく、末永く使っていただきたいという思いがあります。

今日ご紹介させていただいた注意点を守っていただければ、より長く良い状態でご使用いただけるかと思いますので、もし上記の内容を既にやってしまっている方がいましたら次からは是非気を付けていただければと思います。