道具を知る

道具へのこだわりと大切に扱う習慣

道具の扱い方に性格が出る

仕事柄、日々色々な人の庖丁を目にします。

本当に大切に使っているなー、と感じる庖丁もあれば、どうやって使ったらこうなるの?と感じるくらい酷い状態の庖丁にも出会います。

庖丁一つとっても研ぎ方や清潔さを見れば、扱う方の性格が何となく見えてきます。

料理人の方でも、油でベタベタの庖丁や錆びだらけの庖丁、柄にカビが生えている庖丁などを研ぎ直しに持って来られる方は意外と多く、はっきり言えば不衛生だと感じますし、僕はこのような庖丁で調理された料理を食べたいとは思いません。

どんな庖丁を使っていようが食べる人には分からないし、美味しければ文句は言われないと言われたことがありますが、確かに僕も全て判別が付くかと聞かれれば必ずしもそうではありません。

しかし、自分がもしお客様の立場だったら汚い庖丁で切られた食材を食べたいと思うでしょうか?

厨房は外から見えないのでお客様にはバレないかもしれませんが、口に入るものを扱う訳ですから料理の味以上に清潔であることが最も大切であると思っています。

食中毒などが実際に起きてからでは遅いので、特に生食を扱うお店では少なくとも清潔な庖丁で調理をして欲しいものです。

あなたのお持ちの庖丁が上記の話に当てはまった方は「道具は自分の手の延長」だと思って扱ってみてください。

こう考えれば、普段手が汚れたら洗うのと同じように庖丁も汚れたら綺麗に洗うようになりますし、定期的に爪のお手入れをするのと同じように庖丁のお手入れをするのが当たり前になっていくと思います。

良い道具とは?

高いものが必ずしもその人にとって良いものであるとは限りません。

価格とは希少価値・材料費・製作に費やした時間など様々な要素が絡み合って決まる物で、基本的には価格と品質は比例しますが、庖丁に関して言えば性能以外のデザイン性や装飾の部分で値段が上がっている商品も多く存在します。

人それぞれ価値基準は異なるので、単に値段や性能といった物差しだけでは本当の意味での良し悪しは測れないと思っています。

僕の中での良い道具の定義は「値段を見ずに自分が心から欲しいと思ったもの」です。

それは純粋に憧れのシェフが使っている道具でも良いし、料理のクオリティーを上げるために必要だと感じたものでも良いと思っています。

機能面において素晴らしい道具は沢山ありますが、その良し悪しは使い手との相性もあるため、実際に色々と使って経験をしてみないと分からないことが多いです。

それであれば、まずは自分が心から気に入った道具を使うことが成長への一番の近道ではないかと思っています。

仕事に真剣に向き合い常に成長を続けていれば、その都度あなたのレベルに合わせた「良い道具」を自ら積極的に探すようになりますし、そうこうしている内に気づいたら自然とあなたにとって最適な道具に巡り合えていることでしょう。

最高の仕事をするためには最高の道具を使う

これは販売する側として高い商品を売りつけたいからというポジショントークではなく、実際に僕が料理人として働いていた時から思っていることです。

技術が伴っていないのに高い道具を買っても仕方がないと言う意見も一理ありますが、僕個人的には初心者の人こそ良い道具を持った方が良いと考えています。

目標とする人が使っている道具や素直にカッコいい!欲しい!と思った庖丁を使うことで仕事のモチベーションが上がりますし、道具に負けない仕事をしようと思えるはずです。

また、憧れの人と同じものを使うことで道具のせいにできなくなるので、常に「どうやったら先輩と同じように綺麗に素早く切れるのだろう」と考える機会が増え、自分の技術を見返すきっかけになると思います。

一流シェフなどが使用している道具は値が張るものが多いので、購入するためには一生懸命に働いてお金を貯めなくてはなりません。

そうして努力したお金で良い道具を持つことで、今まで以上に庖丁を大切に扱うようになり、それに伴って一つ一つの仕事も丁寧になっていきます。

大切に扱う過程で、庖丁のお手入れの仕方や研ぎ方なども積極的に勉強するようになるので、安い庖丁を適当に扱うくらいであれば自己投資として良い庖丁を持ち、愛情を持って長く使う方が成長に繋がると僕は思っています。

こだわりを持つことの大切さ 

道具にしても、料理にしても自分なりのこだわりを持つことはとても大切だと思います。

こだわりとは言い換えれば自分自身の美学であり、揺るがない部分です。

こだわりを持つためには日々の仕事を機械的にこなすだけではだめで、一つ一つの作業を自分なりに考え、改善を重ねていくことで徐々に生まれてくるものです。

どんな些細な作業でも自分なりの理由を持ち、人に説明できて初めて本当の意味でその作業を理解していると言えると思っています。

僕自身は物事を勉強するときには必ず人の真似をするところから始め、アドバイスをいただいたら自分のできる範囲で必ず試すように心がけています。

完璧に真似をするためにはその人の体の使い方や行動のタイミングなど、細部にまで注意して観察する必要があります。

そして、真似をしていく中で一つ一つの行動に疑問を持って、なぜこの工程が必要なのか?科学的には本当に正しいのか?など様々な視点から物事を突き詰めていくことで自分なりの理由を持つことに繋がり、人に説明ができるようになります。

これらを言語化できない方は教わった通りのことを毎日こなしていくことに必死で、思考停止に陥ってしまっている可能性が高いでしょう。

時には一呼吸置いて、自分の作業を見返すことで今まで見えなかったことが見えてくるはずです。

自分の頭で考える習慣を身に着けることで、実は不必要な工程や品質に悪影響を及ぼしている作業に気づくこともありますし、逆に今まで良くないと思っていたことが効率化や品質向上に繋がると気づくことも多々あります。

真のこだわりは言葉で表現できてこそ、本当の意味で人に伝わると信じています。

こだわりを持っている方のお話はずっと聞いていられますし、何より勉強になることばかりです。

色々な方にお話を伺っていく中で気づいたことは、同じ事柄に対して正反対の意見が存在しうるということです。

科学的根拠に基づいて答えを見つける人もいれば、自分自身の経験を通して肌で感じてきたことから導き出した結論を貫き通している方もいます。

つまり何が言いたいかというと、結局は物事の見方は人それぞれで、最終的な「こだわり」を決めるのはあなた自身であり正解は常にあなたが信じた道の先に存在します。

あなたが精いっぱい考え抜いて、たどり着いた答えに自信を持つところから始めてみましょう。

これは僕自身に対しての言葉でもあります。

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