砥石を知る

人造砥石の性能を決める三大要素

1.砥粒

基本的にはセラミック系の研磨剤が用いられ、アルミナ系と炭化ケイ素系に大きく分かれます。

砥粒の性質を決める大きな要素は硬さと摩耗のしにくさですが、大まかに言うと、硬さに優れているのが炭化ケイ素で、摩耗しにくいのがアルミナ系です。

刃物用砥石で代表的な砥粒が、アルミナ系ではホワイトアルミナ(WA)やアルミナ(A)、炭化ケイ素系ではグリーンカーボン(GC)やカーボン(C)などがあります。

WAやGCは比較的値段が高い(WA>CG)ので、AやCを混ぜたり、単体で用いられたりすることもあります。

アルミナ系

A(褐色アルミナ)

砥石の寿命と研削性能の最もバランスのとれたグレードです。

一般鋼材用として使用されます。

WA(白色アルミナ)

砥石の寿命はA砥粒に劣りますが、硬度は高く、破砕性に富むため精密研削に適しています。

焼入れ鋼材、軽研削、精密研削に使用されます。

炭化ケイ素系

C(黒色炭化ケイ素)

硬度はアルミナより高いが靭性は低く、非酸化雰囲気では耐熱性は極めて高く鋳鉄、非鉄金属、非金属材料の研削、研磨に使用されます。

GC(緑色炭化ケイ素)

黒色のものに比べ硬度は若干高く、破砕性が高いため主に鋳鉄、非金属材料の研削用に使用されます。

2.製法(結合剤)

最近の主流となっている砥石の製法は、ビトリファイド・レジノイドとマグネシアの三種類が用いられます。この三つの製法は大きく異なるのですが、製法に結合剤の名前が用いられていることから、砥石の性能を決める二つ目の要素は結合剤だという見方もできるでしょう。

ビトリファイド

粒度主に荒砥石~中砥石(約80~3000番)
製法高温焼成(約1300℃)
結合剤ガラス質、セラミック質
(長石、陶石、粘土、フリット等)
特徴・砥粒同士を保持する力が強く、研磨力に優れている。
・砥石自体は硬く、平面維持力に優れている。
・弾力性は低い。
・研磨による傷が深く入りやすい。
・気孔が多いため、水をよく吸収する。
主な製品ナニワ 剛研デラックス砥石 800 QA-0310

キングデラックス 中仕上げ用

ナニワ(NANIWA) 砥石 剛研 荒武者 220

レジノイド

粒度主に中砥石~仕上げ砥石(約800~10000番以上)
製法低温熟成(約200℃で焼成)
結合剤フェノール系樹脂(エポキシ、熱硬化樹脂など)
特徴・弾力性が高く、研ぎ感がソフト。
・一定の揃った研ぎ目が付きやすく、傷も比較的浅い。
・潤滑性に優れており、研ぎ易い。
・研磨力は比較的弱い。
・平面維持力に欠けるため、変形しやすい。
・使用前に水に浸す必要がない。
主な製品キングゴールド仕上砥 G-1型

Morihei 火 中砥石 1000

ナニワ(NANIWA) 本職用砥石 剛研 輝(かがやき) 400

マグネシア 

粒度主に中砥石~仕上げ砥石(約800~10000番以上)
製法乾燥させて固める
結合剤マグネシアセメント
特徴・水に溶ける性質がある。
*水に浸けすぎると砥石の劣化や破損に繋がります。
・砥石自体は硬く、平面維持力に優れている。
・研磨力はビトリファイドに次いで高い。
・使用前に水に浸す必要がない。
・よく乾燥させてから保管する必要がある。
*高番手になるほど割れやすくなります。
主な製品シャプトン 刃の黒幕 オレンジ 中砥 1000
エビ印 本職超セラミックス砥石 台付 400 SS-400

3.気孔について

砥石の性能を決める最後が気孔です。

砥粒が刃物を削り包丁を研いでいくのですが、砥粒が機能しなくなると屑になり、気孔に入っていきます。そのため、適度に気孔がある方が目詰まりせずに良いとされています。

ビトリファイドの砥石は、気孔が多いので手研ぎの砥石にはあまり関係ありませんが、研ぎ師など回転砥石などでは、温度が上がって焼き戻りすることが少なくなります。

一口に砥石といっても異なる製法(結合剤・温度管理など)や研磨剤の組み合わせによって全く性質の違う砥石ができあがります。僕自身も日々色々な砥石を試しておりますが、鋼材によって合う砥石、合わない砥石があったりと新しい発見があります。

鋼材に関しても興味深いですが、その庖丁をメンテナンスするために必要な砥石も実はとても奥が深いのです。

庖丁や砥石に関しては人それぞれ感じ方は異なりますし、庖丁を製作する職人ですら意見がはっきり分かれることも多いそうです。

まさに「十人十色」の世界。そういったところが庖丁や砥石の面白いところなのかもしれません。

ですので、一番の近道は気になった砥石があれば実際に購入して色々と試してみることです。

その中で色々試行錯誤しながら経験を積み、自分に合った研ぎ方を見つけて行きましょう。

僕もまだまだ勉強中ですが、少しでもお役に立つことができれば幸いです。

【Instagram】 tomo_knife_life