砥石を知る

砥石は硬い派?軟らかい派?

砥石の硬さ

砥石の製法は同じであってもメーカーやシリーズによって異なる硬さの砥石が幾つも存在します。

また硬さが違えば研ぎ心地も大きく変わるため、人によって好みが分かれやすいでしょう。

そんな砥石の硬さについて、硬い砥石と軟らかい砥石それぞれの特徴を見ていきましょう。

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硬い砥石の特徴

平面維持力が高い

硬い砥石は平面維持力に優れいるため、長時間の研ぎでも変形しにくい傾向にあります。

軟らかい砥石と比べて面直しをする頻度が少なくて済むため、面直しにかかる労力を軽減することができます。

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精密な研ぎに向く

平面維持力が高いということは砥石の形が崩れにくいため、研磨の際に庖丁に当たる角度をより正確に保つことができます。

当てたい部分のみにしっかりと当たってくれるので、特に和庖丁で切り刃の形を整え、土台作りを行う際には最適の砥石です。

ただし、研ぎムラがはっきり出やすいため、ある意味で誤魔化しの利かないのが硬い砥石の特徴です。

ワンポイントアドバイス

更に精密な研ぎをしたい場合はなるべく砥糞(研ぎ汁)を出さずに研ぐと狙った部分にのみ当たりやすくなります。

鉋(カンナ)等より精密な研ぎを求められる刃物には非常に硬度の高い砥石が使わることが多いです。

寿命が長い

減りが遅く、面直しの頻度も比較的少なくて済むため軟らかい砥石よりも長く使用できる傾向にあります。

砥石はあくまでも消耗品ですが、あまり減らしたくない人は選択肢として考えてみては如何でしょう。

食いつきが悪く感じる

どれだけ硬いかにもよりますが、一般的には硬くなるほど表面をツルツルと滑る感覚が強くなり、慣れていない方は食いつきが悪く感じる人も多いでしょう。

研ぎ心地が良いことから初心者の方は軟らかい砥石を好む傾向にあるように感じますが、硬い方が研いでいるポイントが分かりやすいので感覚を掴むまでは硬めの砥石で練習することをお勧めします。

こんな時におすすめ
  • 初心者の方の練習用(感覚を掴むのにお勧め)
  • 切り刃の土台作りをする場合
  • 裏押しを研ぐ場合
  • 欠け直しなど長時間の研ぎを行う場合
  • カンナや鑿などを研ぐ場合

軟らかい砥石の特徴

研削力が高い

もちろん製法の違いや配合、砥粒の種類によって研削力は大きく異なりますが、特にビトリファイド製法の砥石に関しては比較的研削力が高い傾向にあります。

硬度の高いステンレスなどに対してはやや軟らかめの砥石を使用した方が良く削れるという意見もよく耳にします。

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ムラなく研ぎ上がる

軟らかい砥石で和庖丁の切り刃を研ぐと曇ったように仕上がり、ムラがなく研ぎ上がります。

これは切り刃に凹凸があったとしても、砥石自体が軟らかいため凹んでいる部分にも砥粒が当たり傷が入るため、全体が均一に研げているように見えます。

面直し砥石で砥糞を多めに出した上で、力を込めずに滑らせるとより綺麗に仕上がります。

見た目は非常に綺麗に仕上がるので、急に研ぎが上達したように感じることも多いでしょう。ただし実際には切り刃には凹凸が残っている場合が多いので、平面をきっちり出したい方は注意してください。

硬い砥石を使用すると凹んでいる部分には当たらず、完璧な平面に遂げるまではムラが出るので誤魔化しが利きません。

蛤刃になりやすい

軟らかい砥石ほど刃先が丸くなりやすいです。

刃先をより精密に鋭く研ぎ上げたい場合は硬い砥石がお勧めですが、切る食材によっては刃先に丸みを持たせることで切り離れが良くなったり、刃の強度が増すことで刃持ちの改善が期待できます。

特に出刃包丁のように粗い使い方をする場合は蛤刃に仕上げることで、刃欠けの防止にも繋がるのでお勧めです。

変形しやすい

硬い砥石と違い砥糞は良く出ますが、その反面変形しやすいといったデメリットがあります。

こういった種類の砥石は庖丁を研いでいる最中にも適度に面直しを挟み、平面をしっかりと保ちながら作業を進めることをお勧めします。

こんな時におすすめ
  • 素早く研ぎ上げたい場合
  • ムラなく仕上げたい場合
  • 蛤刃に仕上げたい場合

自分に合った砥石を選ぼう

砥石にはそれぞれ異なる特徴があり、適している作業も異なります。

特に庖丁研ぎを突き詰めたい方は色々な砥石を使用してみて、実際に違いを感覚で覚えることが上達への近道です。用途に合った砥石を選ぶことはもちろん大切ですが、最も大切なのは使い手が気持ちよく研ぐことができ、かつ目標とする仕上がりになることです。

人それぞれ異なる感性を持っていると僕は思っているので、他人の意見はあくまでも参考までに、自己投資としてまずは一つ砥石を買うことから始めてみては如何でしょう。

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