庖丁を知る

仕上げ加工の種類

槌目(鎚目)

庖丁の峰側を金槌で叩き、ランダムに凹凸を付けたデザインです。

凹凸がある分、フラットな仕上げよりもやや切り離れが良く、抵抗感が軽減されます。

その反面、窪みに水垢や油分などの汚れが溜まりやすいので、よりしっかりと洗う必要があるでしょう。

ダマスカス(積層・墨流)

何層にも重なっている鋼材を地金に使用して、サンドブラスト加工やエッチングをすることで、神秘的な模を浮かび上がらせます。

全く同じ模様は存在せず、庖丁一本ごとに見せる表情が違うところも魅力です。

サンドブラスト加工とは?

ショット・ブラストの一種で、表面に砂などの研磨剤を吹き付ける加工法のことです。

積層鋼材は交互に硬度の異なる金属を重ね合わせているため、サンドブラスト加工を施すことで軟らかい金属のみが削られて、曇ったように変化します。

二種類の金属の硬度差を利用して、模様を浮かび上がらせるという原理です。

安定性と安全性に優れている点がメリットで、多くのダマスカスや墨流の商品に使用されている加工法です。

主に洋庖丁をダマスカス、和庖丁を積層鋼や墨流と呼ぶ場合が多いですが、明確な定義はないのでお店によって表記の仕方は異なります。

エッチングによる仕上げ加工を施した庖丁です。

薬品の種類や配合によって色味が変化するので、デザインの幅が広い加工法と言えるでしょう。

エッチングとは?

化学薬品を使用して、地金を腐食させることで模様を浮かび上がらせる加工法のことです。

二種類の金属の化学反応の違いを利用して、模様を浮かび上がらせる原理です。

化学薬品の配合比率や濃度、温度の違いによって個体差が出やすく、取り扱いにも注意する必要があるので、エッチングによる加工を停止したメーカーもあります。

こちらのダマスカス庖丁は、ステンレス材に有色金属である真鍮と銅を交互に重ねた積層鋼を地金として使用しています。

黒打仕上げ

焼き入れ後の酸化被膜を落とさずに、そのまま残した仕上げになります。

黒い部分は一種の鏽(黒鏽、四酸化三鉄)で、敢えて磨きをかけないことで赤錆を防止してくれます。

表面に磨きをかける工程が少なくなる分、比較的安価に生産することが可能です。

梨地仕上げ

サンドブラスト加工により、表面に細かい傷をつけることで梨地模様に仕上げます。

見た目はダマスカスのように派手さはありませんが、味のある落ち着いたデザインで、シンプルな庖丁が好みな方にはおすすめです。

鏡面仕上げ

何種類ものバフと研磨剤を使用し、鏡のように磨き上げる仕上げになります。

非常に清潔感があり、特にお客様から手元が見えるカウンター等で使用される方が好んで購入されます。

また、鋼を鏡面仕上げにすることで表面にある細かい傷が浅くなり、水分が残りにくくなるため、錆びづらくなります。

しかし、場合によっては食材に張り付きやすくなり、抵抗感が増すため注意が必要です。

霞仕上げ

和庖丁において、もっとも一般的な仕上げになります。

切り刃部分に化粧研ぎを施すことで、軟鉄部分を霞ませることから霞庖丁と呼ばれることもあります。

【化粧研ぎとは?】

和庖丁の切り刃部分を研磨剤で磨き、ムラを無くすことで綺麗に仕上げる工程です。

研磨剤の配合や、化粧研ぎに使用する道具は刃付け師によって異なります。

ディンプル加工

食材の切り離れを良くするための加工です。

側面に凹凸を付けることで、食材と庖丁に間に生まれる摩擦を軽減することができ、抵抗感が軽減されます。

槌目は主にデザインとしての加工ですが、ディンプル加工は切り離れを良くする目的で施されるので、効果は槌目よりも高いと言えるでしょう。

研ぎ方を誤ると刃先が波刃になり、上手く刃が付かなくなってしまうので注意しましょう。

刃の両側面にディンプル加工が施されている庖丁は1:1、左右どちらかについているものは加工が施されている面を8割で研ぐように意識するのがポイントです。

フッ素加工

フッ素加工を施すことで、汚れが付着しにくくなると同時に、食材の切り離れも良くなります。

ディンプルと違い、側面に凹凸は無いので比較的洗いやすいです。

しかし、他の加工と異なり、塗装によるコーティングなので経年劣化や剥離が起こりやすいというデメリットがあります。

金たわし等で強く擦ると、フッ素加工が剥がれ落ちる原因となりますので、注意しましょう。

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